何故日本企業はお金を貯めておけるのか
いわいる内部留保が景気回復を妨げている云々の話は省きます。
おそらく、皆さんのほうがお詳しいと思いますので。
一般に、日本企業が内部留保できるのは、株式の配当を抑えているから、株主もそれを許しているから、と言われます。
それもあるでしょうが、本来従業員に支払うべきお金を払っていないことも大きいと思います。
外国のことは知りませんが、日本の企業は、従業員をいいように使っているといっていいでしょう。
それができるのは、日本の個々人にある責任感や義務感と、周囲に迷惑をかけてはいけない、という強迫観念です。
一般に、日本の企業で働いている人たちは、多かれ少なかれ、会社に無料で奉仕していることがあるはずです。
サービス残業のような、既に社会的な問題になっていることばかりではありません。
時間給の人が、きりが悪いからと時間外まで残って仕事を続けたり、与えられた仕事が終わらないからと自主的に少し早く出勤される方も結構いらっしゃいます。
例えば、機械類に問題が生じて、誰かが残らなければいけないときに、時間だからといって一人残らずいなくなってしまう会社はないでしょう。しかし、もしもそんなことになる怖れがあれば、会社としては、警備会社やメンテナンスの会社と特別な契約をする必要がでてきてしまいます。その費用は相当なものになるでしょう。
なんでしょうか、これは。終身雇用時代の名残なのでしょうか。それとも、人間にもともとある、仲間意識が(無意識に?)利用されているのでしょうか。
それでうまくいっていた時代もあったのでしょう。
しかし、流れは契約社会になってきています。
いわいる、グローバル社会になったということもあるのでしょうが、実は、舶来のものや制度にはいまだに権威があるからではないかと疑っています。(欧州では契約ですべてが動くんだよ、などといわれて、大して考えんと感心しちやったんじゃあないんですか)
よくは知りませんが、欧米では従業員の権利意識も高いんじゃあないんでしょうか。
だから、会社側と従業員側とでバランスもとれているのでしょう。
日本もいずれはそうなるのかもしれませんが、少なくとも今は会社が優位にことを進めているようです。
その結果が、内部留保として形にあらわれているのだと推測します。
新型コロナウィルスの脅威に関して、医療機関で働いておられる方々はやりがい搾取にあっている、ということがいわれていますが、これは、医療機関に限った問題でもなければ、今にはじまった問題でもないのです。
今のところ、この流れは止まらない感じですが、そういう、緊張度の高い社会は日本人向きではないと思うのですが。